
はじめに
日常会話やビジネスシーンでよく使われる「または」「あるいは」「もしくは」。
何気なく使っていても、それぞれの持つニュアンスや適切な使い分けを明確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、この3つの接続詞の意味・違い・使い分け方を分かりやすく解説し、例文やビジネス文書での適切な使い方までまとめます。
正しい日本語表現を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
「または」「あるいは」「もしくは」の基本的な意味
「または」の意味と使い方
-
意味:複数の選択肢の中から、どちらか一方(または一部)を選ぶことを示す接続詞で、選択肢を並列する際に用いられます。日常的な会話から説明文、広告文など幅広い場面で見られます。
-
由来と背景:「または」は古くから日本語で使われており、漢字では「又は」と書かれます。「又」という字には「再び」「別の」という意味があり、そこから複数の選択肢を示すニュアンスが派生しました。
-
特徴:日常的・カジュアルな文章でも頻繁に使用され、特に明確な選択を提示したいときに便利です。フォーマル度は低めですが、案内文や規約などの準フォーマルな文書にも対応できます。
-
使用シーンの幅:商品やサービスの選択肢提示(例:「コーヒーまたは紅茶」)、条件分岐を説明する際(例:「Aが不可の場合はBまたはCを選択」)、指示書やアンケートなどでも使用されます。
-
例:「コーヒーまたは紅茶をお選びください。」「郵送またはメールにてご連絡ください。」
ビジネス利用のポイント
案内文やマニュアルなど、堅すぎない文章に適しています。社内の通知やお客様向けの説明文にも使いやすく、選択肢が明確に伝わるため誤解を避ける効果があります。
「あるいは」の意味と使い方
-
意味:複数の選択肢を提示するほか、「もしかすると」という推量を含むことがあり、可能性を示唆するニュアンスを持つ接続詞です。日常的な会話にも登場しますが、やや改まった印象を与えるため、文章やスピーチなどフォーマル寄りの場面で使われることが多いです。
-
由来と背景:「あるいは」は漢字で「或いは」と書き、「或」は限定やある特定を意味します。古語では「ある人は〜」といった表現にも使われていましたが、現代では選択肢提示や可能性の示唆として定着しています。
-
特徴:ビジネス文書、学術的文章、会議資料、提案書など複数の案や選択肢を提示する際に使いやすく、ややフォーマル度が高いです。また、副詞的に「もしかしたら〜かもしれない」という推量を示す場合もあります。
-
使用シーンの幅:複数の時間や日程の提示(例:「明日の会議は10時、あるいは10時半から開始します」)、複数案の提案、代替案の提示、将来の可能性を述べる場合など。
-
例:「明日の会議は10時、あるいは10時半から開始します。」「成功するか、あるいは失敗するかは挑戦しなければわかりません。」
ビジネス利用のポイント
書面での案内や、複数案の提示に適しています。特にプレゼン資料や契約条件の案内など、選択肢を明確かつ丁寧に示したい場合に効果的です。
「もしくは」の意味と使い方
-
意味:「または」とほぼ同じだが、よりフォーマルで正確な区別を求められる場面で使用される接続詞で、選択肢や条件の提示において曖昧さを避ける意図があります。特に法律や契約関連の文書で頻出します。
-
由来と背景:「もしくは」は漢字で「若しくは」と書かれ、「若」は「もし」「仮に」という意味を持ちます。このため、元々は仮定や可能性を含んだ表現でしたが、現代では選択肢提示の意味で広く定着しています。
-
特徴:法律文書・契約書など、厳密な表現が必要な文章に向くほか、社内規定や公的なお知らせなど、正確さが求められるビジネス文書にも適しています。フォーマル度は非常に高く、文章全体の印象を引き締める効果があります。
-
使用シーンの幅:契約条項の条件分岐(例:「契約の解除は、書面通知もしくは電子メールにて行う」)、規則やマニュアルにおける選択肢提示、法律に基づく公式な手続き案内など。
-
例:「契約の解除は、書面通知もしくは電子メールにて行う。」「本人確認はパスポートもしくは運転免許証をご提示ください。」
ビジネス利用のポイント
契約条件や重要事項説明など、誤解を避けたい文書に使うと効果的です。また、読者に強い確証や信頼感を与えたい場合にも有効で、言い回しの精度が高まります。
3つの違いと使い分け方
| 表現 | 主な使用場面 | フォーマル度 | 推量の意味 |
|---|---|---|---|
| または | 日常会話、案内文 | 低〜中 | なし |
| あるいは | ビジネス文書、案内 | 中 | あり |
| もしくは | 契約書、法律文書 | 高 | あり |
使い分けのコツ
カジュアル:または
ビジネス:あるいは
契約・規定:もしくは
言い換え表現と注意点
-
または → それとも / ないし / あるいは(選択肢提示のニュアンスが強い場合)
-
あるいは → もしかすると / または / もしくは(推量や複数案の提示に使う場合)
-
もしくは → または / あるいは / 若しくは(特に契約文書やフォーマルな文章で用いる場合)
※意味が近くても、文脈によっては不自然になる場合があります。特にビジネス文書や契約書では、選択肢を並べる際に誤解を招かないよう注意が必要です。また、カジュアルな場面では言葉の硬さや印象が変わるため、相手や状況に応じて適切な語を選びましょう。さらに、類義語であってもニュアンスの差異を理解しておくことで、文章全体の説得力や明確さが向上します。
例文集(ビジネス・日常別)
「または」の例文
-
この書類は、黒インクまたは青インクで記入してください。※ビジネスや公的手続きでは、指定色を明確にすることで書類の統一性が保たれます。
-
会議は対面またはオンラインで参加可能です。※社内外のハイブリッド会議の案内文に適用できます。
-
ご希望の方にはメールまたは郵送で資料をお送りします。
-
申込は店舗または公式サイトで受け付けています。
「あるいは」の例文
-
この案、あるいは別案を検討してみましょう。※複数案を比較する際の丁寧な提示。
-
明日は雨、あるいは雪になるでしょう。※天気予報など推量を含む場合に使用。
-
契約期間は1年、あるいは2年のいずれかをお選びいただけます。
-
この作業は午前、あるいは午後に分けて行うことも可能です。
「もしくは」の例文
-
提出は郵送もしくはメール添付でお願いします。※誤解を避けるため条件を明確化。
-
ご質問は担当者もしくはカスタマーサポートまでご連絡ください。※公式案内文に適用しやすい。
-
身分証は運転免許証もしくはパスポートをご提示ください。
-
不具合発生時は再起動もしくはサポート窓口への連絡をお願いします。
まとめ
-
または:カジュアル寄りの選択肢提示。日常会話や軽めの案内文など、幅広いシーンで柔軟に使える。具体例としては商品やサービスの選択肢提示、アンケート項目の選択肢提示などが挙げられる。
-
あるいは:ビジネス向け、推量も可能。書面や公式な場面で複数案を示す際に重宝し、さらに「もしかすると」という可能性を含めて柔軟な表現ができる。ビジネス文書、提案書、契約条件の比較などで有効。
-
もしくは:フォーマル・厳密な表現が必要な場合に最適。契約書や法律文書、規定集など正確性が求められる文脈で用いられ、誤解を防ぐ効果が高い。条件分岐や資格要件、重要事項説明などでの使用が多い。
場面や文書の種類に応じて適切に使い分けることで、文章の正確性と信頼感がアップします。また、これらの語のニュアンスを理解し、意図に沿った適切な語を選択することで、読み手への伝達力や説得力が一層高まります。さらに、使い分けを意識することは語彙力の向上にもつながり、より洗練された日本語表現が可能になります。