「可哀想」と「可愛そう」の間には、実際に意味の違いがあるのでしょうか?
この疑問を持つ人は少なくないはずです。
インターネットやスマートフォンで「かわいそう」と検索すると、両方の表現が出てくることに気づくかもしれません。
そこで今回は、「可哀想」と「可愛そう」の違い、それぞれの意味、そして関連する言葉や具体例について詳しくご説明します。
「可哀想」と「可愛そう」の違いを探る
はじめに、「可哀想」と「可愛そう」がどのように異なるのかを見てみましょう。
これらの言葉はどちらも「かわいそう」と発音される形容動詞で、基本的には同じ意味を持っています。
「可哀想」は別の場合に「可哀相」とも書かれることがあります。
では、なぜこれらには二つの異なる表記が存在するのでしょうか?
この疑問に答えるためには、「かわいそう」の語源とその進化を理解する必要があります。
「かわいそう」のルーツは、「かわいい」という言葉にあります。
「かわいい」は「かはゆし」という古語から来ており、「かはゆし」またはそれがさらに由来する「かほはゆし(顔映ゆし)」は、心情や状況が体に不快感を引き起こすことを示しており、「気の毒だ」や「不幸だ」といった意味を持っていました。
そこから「かわいい」の初期の意味は、他者への同情や不憫な気持ちを表すものでした。
しかし、時間が経つにつれて、「かわいい」は「愛らしい」という意味へと変化しました。
この変化は、「弱くて保護したくなるような存在に対する愛情」から来ていますが、この感情は元の「気の毒だ」という感情と共鳴しています。
この変遷の結果、「かわいそう」という言葉が生まれ、「不幸」や「不憫」の意味を持つようになりました。
「かわいい」が「愛らしい」という意味で使われるようになった背景には、中国語の「可愛」が関係しており、これが「かわいそう」の漢字表記に影響を与えたと考えられています。
最初に使われた「可愛そう」という表記は、意味的には必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、「不憫」を表すには「可哀想」という表記がより適していたため、後にこちらが使われるようになりました。
このように、「可愛そう」と「可哀想」は、それぞれが特定の意味合いを持つ当て字として機能しているわけです。
「可哀想」と「可愛そう」、その意味を解析
「可哀想」と「可愛そう」の意味を改めて考えてみましょう。
はじめに触れたように、これらは意味的には同じ表現です。
具体的には、弱い立場の者に対する同情や憐れみ、その苦しい状況を改善したいという思いを表す言葉です。
ただし、前に説明した背景により、「かわいそう」は、「かわいい」が本来持っていた「気の毒だ」という意味を引き継いでいます。
現在では、「可愛そう」よりも「可哀想」のほうがよく使われる漢字表記となっています。
公式な書類やビジネスの場面では、漢字を使わずに「かわいそう」とひらがなで書くことも全然問題ないですし、実際にはそれがより適している場合もあります。
漢字での表記に迷った時は、ひらがなで書くことをお勧めします。
「かわいそう」に近い言葉と使い方例
ここでは、「かわいそう」に似た表現やその使い方について紹介します。
「可哀想」や「可愛そう」と同じ感情を表す言葉には、以下があります。
◆同意語
・憐れむ
・同情深い
・あわれむ
・気がかり
・見ていて辛い
・目をそむけるほど
・心が痛む
・不運と思う
・哀れみを感じる
・心苦しい
・涙を誘う
・傷つきやすい
・忍びない気持ち
これらは、「かわいそう」と同じ状況や感情を伝えたい時に使える類語です。
「可哀想」を用いた実際の文章例を挙げてみましょう。
◆文例
・その子がまた叱られたのは、本当に可哀想だ。
・成功している彼女も、実は過去に可哀想な体験をしているんです。
・雨の中、長時間待たせてしまって、彼らには可哀想なことをした。
「かわいそう」とその類語、そして具体的な使用例を見てきました。
これらの表現は、日常会話や文章の中で感情を豊かに伝えるのに役立ちます。
まとめ
この記事では「可哀想」と「可愛そう」の区別、その意味、類似する表現、そして実際の使い方について詳細に解説しました。
最終的に、「可哀想」と「可愛そう」は、意味では変わらないという結論になりました。
使う際にどちらの言葉を選んでも間違いはありませんが、「可哀想」の方が現代の文脈においてはより適しているかもしれません。
もし漢字での表記に迷うようであれば、平仮名で書くという選択肢もありますし、それでも全く構わないということも覚えておきましょう。