普段の生活で、手紙を書いたり、公式文書を作成したり、メールやLINEでのやりとりをする際に、「~しづらい」や「~しずらい」という表現を使うことがよくありますね。
「操作がしづらい」や「歩きずらい」といったフレーズは、日常会話や文書の中で頻繁に見かけると思いますが、どちらの表記が正しいのか、迷ったことはありませんか?
この記事では、「しづらい」と「しずらい」のどちらが正しいか、また、この二つの表現の微妙な違いと、場面に応じた使い分け方について解説します。
「しづらい」と「しずらい」、どれが正解?
はじめに、「しづらい」と「しずらい」のどちらが正しいかをご説明します。
「しづらい」や「しずらい」は、「する」が基の動詞で、「難しい」という意味を持つ接尾語が加わってできた表現です。
この接尾語は、何かを行う際の困難さを示すものです。
一般に、「~しにくい」という意味で使われます。
「辞書の細かい文字が読みにくい」「話しにくい性格の人」「文章が長くて理解しにくい」といった使い方があります。
では、「しづらい」と「しずらい」のどちらが正しい表記なのかについてですが、正確には「しづらい」が正しい表記です。
「しづらい」は「し辛い」と漢字で表され、「辛い」をひらがなで書くと「づらい」になります。
ところが、インターネットやメール上では「しずらい」という表記もよく見かけます。
これは、現在の仮名遣いにおける「ず」と「づ」の混同が原因です。
1986年に公布された現代仮名遣いのルールでは、「づ」と書かれていた多くの単語を「ず」と表記することになっています。
ただし、「仮名遣い」とは異なり、特定の状況では「づ」を使う例外もあります。
例えば、「鼻血」は「はなぢ」と書き、「言葉遣い」は「ことばづかい」となります。
これらは、連語や同音連呼の場合に「づ」を使用します。
この規則に従うと、「し辛い」は「する」と「辛い」を組み合わせたものなので、「しづらい」が正しい表記というわけです。
「しづらい」と「しずらい」、どう使い分ける?
今回は、「しづらい」と「しずらい」の使い方を深掘りしてみましょう。
これらの言葉について、動作を示す際に心理的、物理的、または技術的な障壁がある場合に使われます。
「肉が硬くて食べにくい」や「仕事を進めるのが難しい」といった場面で用いられることがあります。
一方、「~難い」という表現は、行為自体が複雑であったり、実行に際して困難が伴う場合に指し示されます。
これは特に抽象的な内容に対して使用されることが多いです。
「しづらい」や「しにくい」は、何らかの困難はあるものの、努力すれば実行可能な状況を示唆しています。
これに対して「難い」は、より心理的なバリアが高い、または実行が非常に困難であるというニュアンスを含んでいます。
例えば、長年着用して愛着のある衣服を手放す場合には、「しにくい」や「しづらい」が使われますが、威圧的で近づきがたい人に対しては、「近づき難い」と表現されることが適切です。
通常の会話や口語表現では、「しづらい」や「しにくい」が頻繁に使われますが、「し難い」はよりフォーマルな、または硬い印象の表現として位置づけられます。
「しづらい」対「しずらい」:どう使い分ける?
「しづらい」と「しずらい」の適切な使い方とその違いを、もう一度振り返りましょう。
話した内容に基づくと、正確な表記は「しづらい」であり、「しずらい」は誤った使い方とされます。
公式文書やビジネスでのメール、あるいは目上の人への書簡など、フォーマルなシチュエーションで書く際には、このような仮名遣いの正確さが特に求められます。
間違った仮名遣いは、ただでさえ読みやすいひらがなのため、一見しただけで明らかに違和感を覚えさせます。
これは、漢字の誤用と比べても、書き手の教養や細心の注意を欠くように見え、信頼性を損ねる可能性があります。
しかし、現代ではほとんどの文書がデジタル化され、多くのテキスト編集ソフトやスマートフォンは、「しずらい」を入力した際に「しづらい」への訂正を促す機能を持っています。
このような技術的サポートがあるとはいえ、仮名遣いの基礎を身につけておくことは、ビジネスパーソンとしての基本的なマナーとして大切です。
まとめ
この記事を通して、皆さんには「しづらい」と「しずらい」のどちらが適切か、さらにその理由や使い分けについての理解を深めていただけたと思います。
正しいのは「しづらい」であり、「しずらい」は間違った使い方であることがわかりました。
日常の会話では気にならないかもしれませんが、書き言葉にする際には、このような違いに注意することが重要です。
覚えておくと、今後役立つこと間違いなしです。